2011年のF1に採用されたDRSとは?


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2011年のF1グランプリ。開幕戦を見られた方はご存知でしょうけれど、今シーズンよりF1マシンに『DRS』という奇妙なシステムが導入されました。

DRSとは?

DRSとはいったいどんなシステムなんだろう?妙な略語にするからわからなくなる。自分もはじめのうちはテレビの実況の人が、DRS!DRS!と連呼するので、なんじゃそりゃ?って思ってました(笑)

DRSとはDrag Reduction Systemのそれぞれの単語の頭文字をとったものです。Drag Reduction Systemは日本語に直すと、走行抵抗低減システムのことです。日本語に直してもなんかすごそうなシステムに聞こえるぞ。ただし実際は、リヤウィングの角度をON/OFFで変えるだけのシステムです。

DRSの効果 -ウィングのダウンフォースと空気抵抗の関係-

少しモータースポーツを知っている人、飛行機について知っている人、流体力学に詳しい人なら、DRSでどんな効果が生まれるのかはすぐにわかることです。

F1マシンは、走るときに車の前から当たる空気の力を利用して、ダウンフォースを発生させています。ダウンフォースとはマシンを路面側にぐっと押し付ける力のことで、路面側にマシンを押し付けると、単純に垂直抗力が増えるので、タイヤがより路面とくっつくようになって、速いスピードでコーナーを曲がれるようになります。、摩擦力 = 摩擦係数×垂直抗力っていうよくある話です。

そのダウンフォースを発生させる装置として、見た目にもすぐわかるのがマシンの前後についているウィングです。

ウィングでは、前から流れてきた空気を上に跳ね上げその反力でマシンが空気の力によって下に押し付けられます。流体力学の話しだからそれだけではないっていうのはあるけれど・・・そこはいろいろ考えるとめんどくさいので保留。

で、前から流れてくる空気に対してウィングの角度をきつくしてあげる、つまりウィングを立ててあげると、跳ね上げられる空気の角度も当然高くなって、その結果マシンを押し付ける力も大きくなる。ただし、跳ね上げた結果、前後方向で後ろに流れる空気の運動量が減少するので、それが車が前進するための抵抗となってしまいます。これは流体力学で言う『運動量理論』です。

そんな感じで、ウィングを立てるのではなく、逆に寝かしてあげると空気抵抗は減少します。だからDRSを作動させて、ウィングを寝かせてあげると空気抵抗が減り、最高速度がアップするというわけです。

運動量理論については、流体力学の本ではほとんどの本で説明されているはずです。それほど流体にとっては重要な理論です。例えば僕が愛用している、『機械流体工学』にもきちんと書かれています。実はこの著書の先生の授業を受けてたりもします(笑)

DRSの問題点

DRSが採用されると聞いて、僕が技術的におもしろそうだなと思った点は、DRSのON/OFFの瞬間です。DRSのON/OFFの瞬間はマシンの空気の流れが変化するので、これはマシンの安定性を乱す方向になりかねません。ただ、今のところ見た限りでは、それほど気にすることでもないのかなという印象です。

どうやってウィングを変化させる?

F1チームが実際にどうやっているかっていう詳しいDRSの機構については、今までF1を見た限りでは、エンジンの空気を取り入れるインダクションポッド後方(昨年までFダクトがあった場所)から、ワイヤーやロッドをリヤウィングにつなげているチームと、リヤウィングのエンドプレートに、ウィングの角度変更機構をつけているチームが見受けられます。あくまでも僕が見た限りですが・・・・

昨年まで可変フロントウィングはあったわけだし、F1チームにとっては技術的にはそれほど難しいシステムではないように思います。それでも、DRSが効かなくなったなんてチームもありましたね(笑)個人的にはある一定の条件下でDRSの機能を働かせるシステムの方がよっぽど難しいように見えます。