自動車に限った話しではなくて、世の中にある機械には、ギヤ(歯車)がたくさん使われています。
ギヤの用途はさまざまありますが、一番の用途は『変速』です。変速とは、その名の通り速度を変えること。ギヤを組み合わせることによって、設計者の意のままにある回転体の回転速度を操ることができます。回転体の回転速度が変わると、それにあわせてトルクも変化します。ここがギヤの一番のポイント。
ギヤ比とトルクの関係は、どんなに機械に詳しい人でも、気にしていないと、「ギヤを変えると、トルクは変わったかな?どうだったっけ」と、混乱しやすいものなので、しっかりと原理を理解しておくのがいいと思います。自分がそうでした(笑)
今、下図のように、2つの歯数が異なる2つのギヤ(ギヤ1、ギヤ2)がかみあっていて、力を伝達している状態であると考えます。
それぞれのギヤの半径、回転数、歯数、トルクを上の図中の記号で表すとします。ギヤ1によって、ギヤ2に伝達される力をF1とします。この時トルクは、半径×力で表さられるので、
T1 = F1 × R1 ---(1)
となります。伝達される力F1はギヤ2から見ても力の値自体は変化しないので、
T2 = F1 × R2 ---(2)
とも表すことができます。上記の式(1)、(2)より、
T2 = T1 × (R2 / R1) ---(3)
となります。ギヤの半径というのは、歯数に比例するので、R2/R1 = Z2/Z1と考えることができます。そこで、それを式(3)に代入してあげると、
T2 = T1 × (Z2 / Z1)
Z2 / Z1 をギヤ比と呼びます。この式は、ギヤ2でのトルクは、ギヤ1のトルクのギヤ比倍になることを表しています。
一方、この時回転数はどうなっているかというと、ギヤ2の回転数N2は、ギヤ1の回転数N1の1/(ギヤ比)倍になります。これはギヤ1とギヤ2がかみ合っているということは、ギヤ1とギヤ2の外周の速度は変わらないということを使って、トルクの時と同じように数式で表すことができます。ギヤによって、トルクが増えたならば回転数は減るという事です。